文献




進化遺伝学関連


進化遺伝学の勉強に役立つ文献を紹介していきます。書庫を整理しながら、少しづつ追記していく予定です。難易度は★が少ないほど初心者向け、程度にとらえてください。


タイトル著者発行元コメント難易度分類
On the Origin of Species by Means of Natural Selection (1st edition) Charles Darwin 1859 リンク 種の起原、初版。ダーウィンがもっていた元来の思想を知るためには、初版か、これの誤植等を修正したのみの第二版がよいと言われている。一文が冗長で難解、専門用語の中には現代語の何に相当するのかわからないものがある。これを読解、和訳できるひとはすごい。 - 古典
On the Origin of Species by Means of Natural Selection (2nd edition) Charles Darwin 1859 リンク 種の起原、第二版。いわゆる完全版。 - 古典
The Genetical Theory of Natural Selection Ronald Fisher 1930 リンク 進化遺伝学の原点か。 - 古典
集団遺伝学概論 木村 資生 1960 培風館 演習問題のなかには、古典仮説をにおわせたものがある。中立説発表前の著作であるが、「確率過程としての遺伝子頻度の変化」という章が設けられている。 ★★★★★ 専門書
An Introduction to Population Genetics Theory James F. Crow, Motoo Kimura 1970 The Blackburn Press 集団遺伝学(理論)の教科書。 ★★★★★ 教科書
集団の遺伝 大羽 滋 1977 東京大学出版会 文章量が少なく、初心者でもいっきに読みきれる。前半は集団遺伝学の基礎を解説し、後半は多型維持機構(=遺伝的変異保有機構)について紹介。 ★★ 専門書
集団遺伝学 向井 輝美 1978 講談社 生物進化の理解には、その材料となる変異がどのように供給および保有されるかを解明する必要があった。本書はショウジョウバエの野外集団における有害変異保有機構についてくわしく議論している。当該分野のこれほど詳しい総説は類を見ない。 ★★★★★ 専門書
ショウジョウバエの遺伝実習 森脇大五郎 1979 培風館 ショウジョウバエの実験をはじめるにあたっての入門書となる。巻末に日本産ショウジョウバエの検索表が付く。 教科書
集団・行動遺伝学研究法 編: 大島長造 1983 共立出版 集団遺伝学および行動遺伝学の、様々な研究が紹介されている。「ピョコリ系統」に関する記事もある。 ★★ 教科書
分子進化の中立説 木村資生 / 翻訳:向井輝美, 日下部真一 1986 紀伊國屋書店 原著は1983年。「分子進化の」と冠してあることに注意。(読み返してから、コメント追記予定) ★★★ 専門書
生物進化を考える 木村 資生 1988 岩波書店 大衆向けに著され、高校生でも読める。数式を使わずに理解できるよう配慮されている。 一般書
遺伝学ノート 森脇大五郎 1988 学会出版センター 著者(森脇)の研究者人生が語られる。アナナスショウジョウバエ研究の歴史がわかる本。 一般書
集団の進化 北川 修 1991 東京大学出版会 文章量が少なく、初心者でもいっきに読みきれる。具体的な図表をテンポよく紹介している。種分化の解説が主。 ★★ 専門書
The Genome of Drosophila melanogaster Dan L. Lindsley, Georgianna G. Zimm 1992 Academic Press, Inc. 表紙が赤いことに由来して、通称赤本(Red Book)。キイロショウジョウバエの突然変異をまとめた図鑑。図は僅少で、テキスト主体である。それぞれの遺伝子ごとに、発見年月日, 出典, 対立遺伝子と表現型などの情報が蒐集されている。FlyBaseにおける古典的な変異の解説は、本書からの引用だそうだ。記載されたおもしろそうな突然変異にかぎって、ストックリストには見当たらなかったりする。現存しないとしたら、寂しいことだ。 ★★★★ 図鑑
エッセンシャル 遺伝学 D. L. ハートル, E. W. ジョーンズ / 監訳: 布山 喜章, 石和 貞夫 2005 培風館 標準的な教科書で、遺伝学分野を広くあつかっている。事典として利用できる。 教科書
Drosophila - a Laboratory Handbook
second edition
Michael Ashburner, Kent G. Golic 2005 Gold spring harbor laboratory press 初版(1989)はAshburner単著で、灰色の表紙と”Ash”の語感からか、通称灰本(Grey Book)だったそうだ。しかし第二版は水色の表紙になってしまった!キイロショウジョウバエでの広範にわたる研究成果を整理した、頼りになる一冊。遺伝学の事典としても活用できる。 ★★★ 教科書
進化 分子・個体・生態系 ニコラス H. バートン, デレク E. G. ブリッグス, ジョナサン A. アイゼン, デイビッド B. ゴールドステイン, ニパム H. パテル / 監訳: 宮田 隆, 星山 大介 2009 メディカル・サイエンス・インターナショナル 副題の通り、ミクロレベルからマクロレベルまで、様々な生物学分野から「進化」を取り上げる大著。入手も容易。学部生の入門書として最適。 教科書
進化学事典 編: 日本進化学会 2012 共立出版 細分化した各トピックスを、それぞれ数ページ程度にまとめていく、オムニバス形式。分類群ごとの概要もあって、勉強になる。マニア向け。 ★★★★ 教科書
Atlas of Drosophila Morphology Sylwester Chyb, Nicolas Gompel 2013 Elsevier Inc. キイロショウジョウバエの古典的な突然変異体の解説を、無影撮影による綺麗な写真で試みている。変異体を視認するための注目部位を、矢印等で強調する工夫が見られる。解剖学的な部位名称の指示も、概念をとらえるスケッチとはまたちがった、実写ならではのわかりやすさがある。無影撮影のためか、コントラストが弱く、体色も明るい。よって、検鏡時とは印象が異なる点に注意。 図鑑